ゼロから学ぶ外国人雇用の基礎知識 【前編】

1. ゼロから学ぶ外国人雇用の基礎知識を理解する第一歩
1.1 外国人雇用とは?基本の定義と種類
「外国人を雇用する」と聞くと、少しハードルが高いように感じる方も多いかもしれません。
でも、実際には法律や制度を理解すれば、日本人と同じように適切な手続きを経て働いてもらうことができます。
外国人雇用とは、外国籍を持つ人を合法的に日本国内で雇用することを指します。
このとき重要になるのが、「在留資格(ビザ)」です。
在留資格によって働ける職種や勤務時間などが明確に制限されており、違反すると企業にも大きなリスクが生じるため、まずは基礎知識を押さえておくことが大事です。
主な在留資格の種類と特徴
外国人を雇う際には、以下のような在留資格が代表的です。
たとえばこんな種類があります:
- 技術・人文知識・国際業務:事務職や翻訳、ITエンジニアなどホワイトカラー業務が対象
- 技能実習:技能を学ぶことを目的とした実習型の在留資格。3〜5年が一般的
- 特定技能:即戦力人材を目的とした新しい在留資格。飲食、介護、建設、物流など幅広い分野
- 留学・家族滞在:資格外活動許可を取得すれば、アルバイトなど制限付きでの就労が可能
それぞれ条件や期間が異なるため、「どの在留資格なら採用できるか」を正確に見極めることが重要です。
よくある勘違いと注意点
外国人雇用を検討する企業で、最初にありがちなミスは以下のようなものです。
- ビザがあれば誰でも働けると思ってしまう
→実際には「就労可能なビザかどうか」の確認が必須です。 - 留学生をフルタイムで雇用してしまう
→資格外活動許可では週28時間までの制限があるため、オーバーすると違法になります。 - 在留カードの更新を本人任せにしてしまう
→企業も更新状況を確認し、就労可能な状態かどうかを常にチェックする必要があります。
このような勘違いはトラブルにつながりやすく、最悪の場合は「不法就労助長罪」などの法的リスクも発生します。
実際の採用現場ではこんなことも
たとえば、飲食店や物流の現場などでは、慢性的な人手不足から外国人雇用が進んでいます。
採用時に「日本語はどの程度話せるか?」「就労資格は問題ないか?」をチェックしないまま雇ってしまい、後から業務が回らなくなる…という例は非常に多く見られます。
そうならないためには、制度や在留資格の違いをしっかり理解することがスタート地点になります。
1.2 外国人を雇用する主なメリットと現状課題
近年、多くの企業が外国人雇用に力を入れ始めています。
特に人手不足が深刻な業界では、外国人労働者が欠かせない存在になりつつあります。
では、外国人を雇うことでどんなメリットがあるのでしょうか?
一方で、現場で起こりやすい課題も一緒に見ていきましょう。
外国人を雇用する主なメリット
たとえばこんなポイントが挙げられます:
- 慢性的な人手不足の解消
日本人の応募が少ない職種でも、外国人からの応募は多いケースが増えています。 - グローバルな視点や多様性の導入
新しい発想や文化の違いが、職場に良い刺激をもたらすことがあります。 - 長期的な戦力として育てられる
特定技能や技術ビザなどを活用すれば、3年以上の中長期的な雇用が可能です。
外国人雇用は単なる「穴埋め」ではなく、将来的な組織の強化にもつながります。
よくある課題とその背景
一方、外国人雇用には以下のような課題も見られます。
- 日本語によるコミュニケーションの壁
業務指示がうまく伝わらなかったり、トラブル対応が難しい場合があります。 - 文化や働き方の違いによる摩擦
休憩の取り方、上下関係の捉え方など、日本とは異なる価値観による誤解が起きがちです。 - 制度理解が不十分なまま採用が進んでしまう
企業側の知識不足により、適切な手続きが行われずトラブルにつながるケースも。 - 定着率が低く、離職が早い
支援体制が整っていないと、せっかく採用しても短期間で辞めてしまうことがあります。
現場ではこんなシーンがよく見られます
たとえば、物流現場で外国人を採用したものの、研修が日本語のみで進められ、内容を理解できないまま現場に出てしまった…という事態が起こりやすいです。
結果として、作業ミスが増えたり、本人がストレスを感じて早期退職してしまうことも。
こうした事態を防ぐには、採用後のサポート体制や教育環境がとても大切になります。
2. ゼロから学ぶ外国人雇用に必要な法律と制度の知識
2.1 就労ビザの種類と在留資格の違い
外国人を雇用する際に、最も重要な確認ポイントが「在留資格(ビザ)」です。
しかしこのビザ、ひとことで言っても実はさまざまな種類があり、それぞれで働ける内容や条件が大きく異なります。
「就労ビザ」と「在留資格」は混同されやすい言葉ですが、厳密には意味が異なります。
在留資格と就労ビザの違いとは?
まず前提として、日本に中長期で滞在する外国人は、入国時に「在留資格」を取得します。
この在留資格の中でも、「就労が認められているもの」が、いわゆる「就労ビザ」と呼ばれています。
つまり、就労ビザは在留資格の中の一部カテゴリーという位置づけになります。
たとえば:
| 在留資格(ビザ)名 | 就労の可否 | 主な対象業種 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | ○ | IT・経理・通訳など |
| 特定技能1号 | ○ | 介護・外食・物流など12分野 |
| 技能実習 | △ | 技能習得目的(実習が中心) |
| 留学・家族滞在 | ×(※許可で一部可) | アルバイトなどの制限付き労働 |
| 永住・定住者 | ○ | 業種の制限なし |
このように、「どの在留資格か」によって就労の可否や制限内容が大きく違います。
よくある見落としポイント
外国人を雇用する企業が陥りがちな失敗には、次のような例があります。
- 「ビザがあるから働ける」と思い込んでしまう
→実際には「働ける内容」が限られており、資格外活動に該当すると違法になります。 - 業種とビザが合っていない
→たとえば、ITエンジニアのビザを持っている人を、物流現場に配置するのは違法です。 - アルバイト可の留学生にフルタイム勤務させてしまう
→週28時間以内という制限を超えると、企業にも責任が発生します。
このようなリスクを避けるためには、採用前に必ず在留カードと資格内容を確認することが基本です。
書類確認で押さえるべきポイント
在留カードには以下の情報が記載されています:
- 在留資格名(例:技術・人文知識・国際業務)
- 在留期間と有効期限
- 就労制限の有無(「就労不可」や「指定された活動のみ」など)
このカードを確認することで、法的に問題のない雇用かどうかを判断する第一歩になります。
2.2 適法な雇用を行うための注意点
外国人を雇用するうえで最も重要なのが、「適法に手続きを行うこと」です。
制度を正しく理解せずに採用を進めてしまうと、知らないうちに違法行為となり、企業側が大きなペナルティを受ける可能性もあります。
ここでは、法律を守った外国人雇用を実現するために押さえておくべき注意点をまとめました。
企業が最低限行うべき確認事項
まず、採用時に確認すべきポイントはこちらです。
- 在留カードの有効期限
期限切れは即、不法就労に繋がるため、必ず確認しましょう。 - 就労可能な在留資格かどうか
たとえば、「家族滞在」や「留学」は基本的に就労不可です(許可があれば条件付きで可能)。 - 資格外活動の有無と制限内容
アルバイト許可がある場合でも「週28時間まで」などの制限があります。
確認不足によるトラブルは後から発覚することが多く、企業側に罰則が科されることもあります。
適法に雇用するための体制づくりのポイント
法令違反を防ぐためには、社内で次のような体制を整えておくことが大切です。
- 採用前の在留資格チェック体制を作る
担当者任せにせず、複数人でダブルチェックできる仕組みが理想です。 - 在留期間の更新管理を行う
カレンダーで管理したり、本人への通知体制を設けることで「うっかり失効」を防げます。 - 入管への届出・報告を怠らない
外国人を雇用・離職させる際には、ハローワークや出入国在留管理庁への届出が必要です。 - 労働条件通知書や雇用契約書を母国語で用意する
内容を理解せずに署名していると、後々トラブルの原因になりがちです。
よくある失敗例と対策
特に中小企業でありがちなのが、次のようなケースです。
- 現場担当者だけが在留資格を見ていて、会社全体で管理していない
→企業としての責任は全体にあるため、体制整備が不可欠です。 - 外国人本人の申告だけを信じてしまう
→口頭での確認ではなく、必ず書類で証明を取ることが大切です。 - 労務管理が日本人と同じ扱いになっていない
→労働基準法は国籍問わず全員に適用されるため、外国人も当然に保護対象です。
このような点を見逃すと、最悪の場合、「不法就労助長罪」や「入管法違反」に問われる可能性があります。
だからこそ、採用時と雇用中の「適正管理」が企業の信頼と継続雇用のカギになるのです。
2.3 違反した場合のリスクとは
外国人を雇用するうえで、法律や制度を守らなかった場合、どんなリスクがあるのでしょうか?
「知らなかった」「ついうっかり」では済まされず、企業側にも厳しい処分が科される可能性があります。
適法な雇用を怠ると、企業も重大な法的責任を負うことになるため、事前にしっかり把握しておくことが必要です。
主な違反リスクとその内容
違反した場合に企業が直面する主なリスクには、以下のようなものがあります。
- 不法就労助長罪(入管法第73条の2)
→違法な在留資格の外国人を雇用・紹介・斡旋した場合に適用され、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。 - 社会的信用の失墜
→ニュース報道などで企業名が公表される可能性があり、取引先から契約解除されるケースも。 - 行政処分・営業停止の可能性
→特定技能などで登録支援機関になっている企業は、資格の取り消しや業務停止命令が出されることも。 - 再入国制限による人材不足の長期化
→違反が発覚すると、その外国人本人も再入国が制限され、企業としての人材確保に大きな影響を及ぼします。
このように、制度違反は「企業の存続に関わる問題」になり得ます。
実際に起きやすい違反事例
違反に繋がりやすいのは、次のようなパターンです。
- 在留資格を確認せず採用し、就労不可の資格だった
- 留学生を週28時間以上働かせていた
- 在留カードの有効期限が切れているのに勤務を続けさせた
- 労働条件通知書を発行しておらず、最低賃金を下回っていた
これらはすべて「企業側の確認不足」によるものです。
中には、採用時に外国人本人が誤った情報を申告していたケースもありますが、責任は企業にも及ぶ点に注意が必要です。
予防のために企業ができること
リスクを防ぐためには、以下のような対策を取り入れると安心です。
- 定期的な在留カードチェックの実施
- 入管法や労基法に詳しい担当者の配置
- 外部の専門機関と連携した採用プロセスの構築
- 多言語対応の労務管理ツールの活用
制度をしっかり守ることで、トラブルを回避しつつ、安定した雇用体制を整えることができます。
▶︎後編は近日公開予定です
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